妹を溺愛する兄が先に結婚しました

足と肘掛けの部分がスチールの木製ベンチに腰を下ろし、横並びで座る。


「お腹空いてない?」


「大丈夫だよ」


「帰り送るから、ちょっとだけ時間ちょうだい」


ちょっとだけと言わず、全部あげますよ。

……と心の中では答えて、時原には笑顔を返した。



「話って昨日のことだよね?」


口火を切ったのは、私。


それに対して時原は、「え?」と驚いて見せた。


「あれ、違った?」


「んー、まあそれもあるけど。……昨日は何があったの?」


それ“も”という言い方に引っかかったけど、無視した。


「昨日は、折部くんから話があるって連絡が来て、大事な話だと思ったから待ち合わせしてたの。

そしたら、先に三つ葉ちゃんが来て。

三つ葉ちゃんは私にいろいろ思うところがあったみたいで……」


「濁さないでいいよ。夏目の気持ちは聞いたから」


……っ!


「告白されたの⁉」


「されたっていうか、させたって感じだったけど。……それで?」


「あ、うん……。なら、えっと。

私と時原が仲良くしているのに嫉妬してたみたいで、

『フラれたのに友達で居続けるのはずるい』とか『譲ってください』とか言われました。

ほんとは言い返したかったんだけど、その前に泣かれちゃって。


なので、私は泣かしてないから!」


最後、思わず力が入ってしまった。

そこの誤解だけは解きたかった。