時原のことを兄に連絡してから間もなく、兄が慌てた様子で帰ってきた。


「男を家に連れ込むなんて、結咲はいつからそんな不良少女になったの?」


私の肩を掴んで言い聞かせるように兄が言うから、その腕を払った。


「お兄ちゃんに言われたくないから」


兄を一瞥(いちべつ)して離れた。



連絡したのは他でもない……送ってもらうため。

じゃなきゃ、絶対に連絡なんかしない。


結構遅い時間になってしまったし、雨も降っているので、車で送ってもらおうと兄を呼んだ。

完全に運転手扱い。


まあ、連絡があった時点で理解していたのか、兄は時原に声をかけて早々に家を出た。



「今日は、ありがとう」


「うん。また明日ね」


そう言って背中を向けた時原を見送った。