妹を溺愛する兄が先に結婚しました

そんな感じで交流会が進み、場がさらに盛り上がっていく。


「ねぇ、真崎。先生呼んでよ」


それなりにお腹が膨れた頃、唐突に飛び込んできた言葉。


一瞬、無表情になる。


「なんでですか?」


「男バスの顧問なんだし、いいじゃん。ていうか、先生に会いたい」


「会いたいって。先生、既婚者になるんだぞ」


「それとこれとは別よ!」


私の感情なんてお構いなしに、盛り上がるみんな。


今までもこういうことあったし、慣れっこだけどさ。


……でも。



「これ、あげる。食べて」



聞き覚えのある言葉が耳に届いた。


なんだろう……、この既視感。


あの時と同じだ。


前を向くと、時原が私の皿に肉を乗せていた。


「ありがとう」


「こっちもあげる」


「さすがに、そんな食べられない」


「そっか。じゃあ、これは俺がもらうね」


私たちがそんな会話をしているうちに、みんなの話題は切り替わっていた。