「わー!どうしよう……!傘持ってない」
「俺もない」
「とりあえず、家まで走ろう!」
意味がないとわかっていながらも雨を避けるため手で頭を押さえながら、駆け出した。
急に大粒になるもんだから、玄関の前に着く頃にはビチョビチョ。
「家に寄って」
「大丈夫。このまま帰る」
「ダーメ。それじゃあ電車に乗れないでしょ」
踵を返そうとする時原の腕を掴んで引き止めた。
男の子だから当たり前なんだけど……、
思いのほか力が強くて、思いっきり引っ張ってしまった。
鍵を開けて家に入る。
廊下の電気が点いていて、玄関には母の仕事用の靴が揃えられているので、
すでに帰宅済みであることがわかった。
「おかあさーん!」
濡れて玄関で立ち往生中の私が声を上げて呼ぶと、エプロンをした母がリビングから顔を出した。
「どうしたの……、あら?」
「濡れちゃったからタオル取ってー」
時原を見て目をパチパチさせる母。
言わんとしていることに勘付いて、言葉にされるより先にお願いした。
「俺もない」
「とりあえず、家まで走ろう!」
意味がないとわかっていながらも雨を避けるため手で頭を押さえながら、駆け出した。
急に大粒になるもんだから、玄関の前に着く頃にはビチョビチョ。
「家に寄って」
「大丈夫。このまま帰る」
「ダーメ。それじゃあ電車に乗れないでしょ」
踵を返そうとする時原の腕を掴んで引き止めた。
男の子だから当たり前なんだけど……、
思いのほか力が強くて、思いっきり引っ張ってしまった。
鍵を開けて家に入る。
廊下の電気が点いていて、玄関には母の仕事用の靴が揃えられているので、
すでに帰宅済みであることがわかった。
「おかあさーん!」
濡れて玄関で立ち往生中の私が声を上げて呼ぶと、エプロンをした母がリビングから顔を出した。
「どうしたの……、あら?」
「濡れちゃったからタオル取ってー」
時原を見て目をパチパチさせる母。
言わんとしていることに勘付いて、言葉にされるより先にお願いした。



