妹を溺愛する兄が先に結婚しました

ファミレスを出て、ビルの前で立ち止まる。


正直、このまま帰りたかった。


……お腹空いた。

こんな状況にも関わらず、お腹は減る。


それでも話だけはしないといけない。


「腹減ったなー」


沈黙を破る言葉。

心の声が口に出たかと思って顔を上げると、折部くんと目が合った。


そう言ったのは彼だった。


「ファミレスにいたんだから食べれば良かったじゃん」


「一緒に食べようと思って待ってたんだろ」


「え。じゃあ……用ってそれ?」


「来いっつっただけで、別に用があるとは言ってねぇし」


……そ、そうだったのか。

あのメッセージだけじゃ、わからないよ。



「用がないならもう帰る」


呆れて足を踏み出した私は、まだ言い残したことがあるのに気付いて振り向いた。


「もうこういうことはやめてほしい。私、折部くんとは2人きりで会いたくないから」


「なんで?」