駅までの道を並んで歩いて、あっという間に駅前に着いた。


駅のロータリーから道1本外れたところにあるビルの2階に、指定されたファミレスがある。


入店音を響かせて入ると、すかさず店員さんがやって来たので「待ち合わせです」と言って、店内をざっと探す。


窓際の4人掛けテーブル席に、北高の制服を着た男女がいた。


来いというくらいだから折部くん1人かと思えば女子も一緒で、呆気に取られる。


折部くんは、グラスに刺さったストローをくるくるとつまらなそうに回しながら、一方的に喋る女子に適当に相槌を打っている。


小さくため息を吐いて、そのテーブル席に近寄った。



視線を上げて、私たちを見るなり顔を歪めた折部くん。


「誰そいつ」


私の一歩後ろに立つ時原の方を見ながら聞いてきた。


「友達」


「ふーん……。2人きりになりたかったんだけど。1人で来いって言わないとわからない?」


頬杖ついて不敵に笑う折部くんに、今度は私が顔を歪めた。


「そっちだって1人じゃないじゃん」


「ああ、こいつは時間潰し」

そして、彼女を見ながら「ということで、帰って」と言い放った。


不服そうに立って私にひと睨み利かせていった彼女の背中を見送る。


そういや、折部くんって北高の1番人気なんだっけ。

真琴の言葉を思い出しながら、視線を折部くんに戻した。