稲妻。

稲が実を結ぶ時期に多く起こり、これによって稲が実ると考えられていたために秋の季語として知られるが……、

音のない天の(いかずち)は、そっとやって来る恐怖のように思う。



「嫌な天気だねー」


部室の窓から曇り空を見上げる爽が呟いた。


部活の練習着に着替え終わって、私はスマホでこれからの天気を調べてみた。


「うわ、雨マークがついてる」


「え、ほんと?傘持ってきたっけ」


「私はない」


「……私もなかった」


あはは……、と乾いた声で笑い合う私たち。


ふと。

手に持っていたスマホが音もなく震えた。


手元に視線を落として……。


「はぁ?」

バナーに表示された名前とメッセージ内容を見て、思わず眉を顰める。


「どうしたの?」


「……折部くんからメッセが来た」


「え、折部くんって初恋の……、じゃなくて北高の人ね」


“初恋”という言葉にギロリと睨みつけた私に配慮して言い直した爽は、窓から離れて、ベンチに座る私の隣に腰かけた。


「なんて?」


「……【大澤のサイゼに来い】だって」


「え、何それ」