妹を溺愛する兄が先に結婚しました

「ごめんね、私のせいで……」


階段に腰を下ろしながら謝る。


「いいよ。俺も人が多いところとか苦手だし」


隣に座った時原から、模擬店のたこ焼きを受け取った。


……美味しそう。

手を合わせていただきますをする。


小ぶりなたこ焼きで食べやすく、少し冷めているけど美味しい。



「昨日は何したの?」


あっという間にホットドッグを食べ終えた時原が聞いてきた。


「昨日は模擬店を回ったり、縁日と謎解きスタンプラリーで遊んだよ。……時原は?」


「俺は男バスのみんなとストラックアウトしたり、ステージを見に行ったり」


「ストラックアウト?」


「うん。みんな本気になって、想像以上に大盛り上がりだった」


そんな男バスのみんなを想像すると笑えてくる。


……呆れながらも時原は付き合ってあげたんだろうな。


隣の時原を覗き込むように見る。


「楽しかった?」


「うん、楽しかったよ。……真崎は、楽しかった?」


「うん。私も楽しかった」


だけど、今の方がもっと楽しい。

……その言葉は呑み込んだ。


何をするかも大事だけど、誰といるかの方がもっと大事だって。


今、こうして時原といると強く実感する。