やっと布団から出られる。


「ぷはっ」

顔を出して、深呼吸した。


「大丈夫?」


「暑かった」


布団を剥ぐと目の前に時原の身体があった。


顔を上げたら時原と視線がぶつかって、

……改めて、この状況が際どいことに気付く。


急いでベッドから立ち退き、髪や制服を軽く整え……、


「じゃあ、私は帰るけど、時原はどうする?」

なんとか平常心を装う。


「俺も帰る」



先に保健室を出た私。大きく息を吐く。


……大丈夫、大丈夫。

そう自分に言い聞かせて。


背にしていた保健室のドアが開いて時原が出てきた。


「一緒に帰ろっか」


「うん」と笑顔を作って答える。


……大丈夫。

私は落ち込んでない。


必死に言い聞かせて、本音を包み隠した。