「うん」


「じゃあ……っ、文化祭……私と一緒に回ってくれませんか?」


「……なんで?」


「時原先輩って真崎先輩と仲良いから、……ずっと自信なくて。

でも、ダメ元でもいいから文化祭誘ってみようと先輩を探していたんです。


……文化祭の時だけでいいので、一緒にいてくれませんか?」


顔を見なくても、三つ葉ちゃんの精一杯が伝わってくる。


一瞬でも、邪魔してやろうか、と頭を過った自分の醜さを恥じる。



「ごめん、それはできない。俺も、誰といたいかは自分で決めたい」


「……それは、私じゃダメってことですか?」


「ダメっていうか……、うん。でもそういうことになるかな」


「他に好きな人がいるんですか……?」


「違うよ。……でも、ごめん。今ははっきりしたことが言えない」


「……わかりました」


そう呟いてすぐ、三つ葉ちゃんの走り去る足音がした。