「どんなって言われても……、すごい綺麗な人かな」


「えぇ。顔ってこと?」


「真崎先生って顔で選ぶ人だったんだ。それはそれでショック」


どうしてか、勝手に兄の評価が下がった。


私のせい?


「見た目もそうだけど、中身もいい人そうだったよ」


さすがにフォローを入れる。


「見た目綺麗で性格もいい人なんてこの世にいると思う?」


「いないいない。絶対性格悪いよ」


明らかな偏見で話が進んでいく。


最初はにこやかに対応していた私だけど、だんだん笑顔が引きつってくる。


……そんな時だった。



「これ、あげる」



会話を遮る声がした。


振り向くと、私に紙パックのアップルジュースを差し出す男子がいた。


細身で儚げな空気感を纏う、綺麗な瞳の男の子。


ここに、私を含めて4人の女子がいるのに、どうしてか私とだけ目を合わせている。


「あ、ありがとう……」


戸惑いながらも受け取ると、その男子は立ち去ってしまった。


ポカーンとする私たち。