妹を溺愛する兄が先に結婚しました

〜Side 時原〜



「爽、大丈夫?」


ペットボトルの水を持ってラウンジに行くと、

椅子に座って呆然としている爽を見つけたので声をかけた。


熱中症で倒れたと聞いた。


夜ご飯は食べていたしミーティングに参加していたし、顔色も良さそうだけど、

合宿所のおばさんからペットボトルの水をもらったので一応渡す。


「ありがとう」


爽は、呟くようにお礼を述べると俯いてしまった。


……わかりやすいよね、爽は。

普段は澄ましているくせに、怒っている時や落ち込んでいる時、悩んでいる時は顔に出やすい。


基本無関心な俺ですら気付くくらいだもんな。



とりあえず、爽の前の席に座った。


テーブルに頬杖をついて、じっと見つめる。


すると、俺の視線に気付いたのか爽が顔を上げた。


「なに……?」


「なんで真崎と喧嘩になってるのかなと思って」


ギクッとする爽。


「俺、てっきり和奏に聞くものだと思ってたんだけど?」


「それは……っ。そうなんだけど……、

でも、どうしても和奏に聞けなくて」


「それじゃあまだ聞いてないんだ。

……真崎にはなんて言ったの?」