妹を溺愛する兄が先に結婚しました

夜。

ミーティングが終わって、消灯時間まで自由時間。


宿の裏庭に出ると、小さな池があってピチャピチャと小さな音がする。


木々の擦れる音と相まって、自然をよく感じられる。



私は、タイルと草地の間の段差に腰を下ろした。


「どうしたの?」


立ったままの和奏に尋ねる。


ミーティングが終わった後、和奏に呼ばれてついてきてみれば裏庭。


人がいないところを選んだ辺り、聞かれたくない話なのかな。


「爽のことで……」


……ほらね、やっぱり。


「ごめん」


しかし、いきなり頭を下げて謝られた。


「え?」


「真崎……、今、爽と喧嘩してるよな。

それって俺のせいだよな……?」


「あー……、いや。和奏のせいだけじゃないよ」


「ありがとな。でも、自分でも迷惑をかけたのはわかってる。

合宿が終わればちょうど2週間だし……。

爽に話すならすべて片付けてからと思ってたけど、そのせいで余計に心配させちゃったから話そうと思う」


「話すって……、許婚のことも?」