妹を溺愛する兄が先に結婚しました

不意に、私の右耳にイヤホンが差し込まれた。


「……?」


顔を上げると、右耳のイヤホンから延びるコードが時原の左耳に繋がっていて、1つのイヤホンを分け合っている状態だった。


イヤホンから流れてくるのは洋楽で、知らない曲。

英語なので何を言っているかもわからない。


だけど、ゆったり落ち着いた曲で子守歌のよう。


「少し寝れば?眠いんでしょ」


「う、うん……。でも、このイヤホンは……?」


「んー、周りの音を遮断してくれるかなって思って。

……あ、でも、片耳じゃ意味ないか。


こっちも使う?」


「ううん、片耳でいい。……ありがと」


お礼を言うと、時原は小さく笑みを見せた。


きっと、沈んだ気分が表情に出てたんだ。

それで時原が心配してくれた。


その優しさが嬉しくもあり、心苦しくもある。



***



初日は、長いバス移動があったので基礎練習だけで終わった。


明日から本格的に走り込みやゲーム形式の練習を始める。


5日間みっちりやるには、身体の負担を考えないと。

基礎練習だけでもだいぶ疲れた。