最初にモヤついたのは、真崎先生の結婚相手が和奏のお姉さんだとわかった時。


結咲と和奏は、兄姉の結婚相手の弟妹という関係になった。


ただの同級生じゃないとわかった瞬間、

黒いモヤのようなものが私の中に生まれた気がした。


『ゆか姉って今どこに住んでんの?』

『うちだよ』

『そっかー。ゆか姉の結婚相手が真崎先生なら避難しに行けると思ったけど』

『避難?……別にうちはいつでもウェルカムだよ』

『マジ?じゃ、行こうっと』


モヤモヤが広がっていく。



和奏から、試験期間中は真崎家に行くって聞かされて、ほんとは嫌だった。


でも、和奏の家庭事情が良くないのは察していたから、自分勝手な感情で困らせたくなかった。



このモヤモヤの正体が醜いものだって自覚したのは、夏休み入ってすぐ。


結咲と、和奏が今でも真崎家に来ているという話になって、


『あ、でも、心配することないよ?ほんとにたまにだし、帰りはちゃんとお兄ちゃんが送ってあげてるから』

とフォローされた時。


結咲の気遣いに胸が痛くなった。


あの時、私は和奏を心配したんじゃない。


結咲の口から和奏の事情を聞くのが嫌だったんだ。



これは、結咲に対する嫉妬。



……なんで結咲に?


和奏が他の女子と仲良くしていても、相変わらず友達多いなくらいにしか思わないのに。


結咲にだけ、どうして?