「結咲、どうしたの?」


「ううん、なんでもない」


爽に言われて、和奏から目を逸らす。


……私が心配することじゃない。



練習終わりが男子と重なった日。


駅で女バスの友達と別れた後、爽と和奏に出くわした。


同じ方面の電車なので、自然と一緒に乗り込む。


ドア付近に3人で立っていて、ふと。


「時原は一緒じゃないんだね」


疑問が言葉に出た。


「最近は一緒に帰ることないよ」


「なになに。静也のこと気になるの〜?」


「そういうんじゃない!」


ニヤニヤする和奏。


私が否定すると、反応を楽しむように笑った。


……聞くんじゃなかったと後悔。



先に爽たちが降りる駅に着いた。


プシューッとドアが開いて爽が降りる。


しかし、和奏はぼんやり立ったまま。


「和奏!降りないの?」


「え?……あ、そっか」


爽に言われてハッとし、和奏も続いて降りた。


そんな2人にひらひらと手を振って、電車が動き出した。