妹を溺愛する兄が先に結婚しました

この2週間は問題解決のための時間じゃなくて、和奏の頭を整理させるための時間なのかもしれない。


……事情は未だに知らないけど。



「それと」


そう前置きをして、兄は言葉を続ける。


「つーか、ここからが本題なんだけど」


「?」



「結咲の半径2メートル以内に近づくなよ、絶対!」



何を言うかと思えば、そんなことをマジ顔で言った。


「……バカじゃないの?」


「これ、重大な問題だから!


結咲が男と暮らすなんて耐えられない。

それでも俺は心を鬼にして許してやったんだ。


せめてルールくらい作ってもいいだろ」


「ねぇ、ほんとバカなの?さっきまでの言葉が全部台無しになってるから」


そんな私たちの言い合いを、和奏とゆかなさんは面白可笑しそうに見ていた。



残りの冷やし中華を流し込むように食べて、さっさと家を出る準備をする。


まだ時間に余裕があったけど、荷物を持って靴を履いて、さあ行こうと立ち上がった時。


「真崎、ちょっと待って」


和奏に引き止められた。