妹を溺愛する兄が先に結婚しました

まだパジャマ姿だし、髪はとかしていないし、顔も洗っていない。

友達にも見せたくない姿。


余程女として意識されてないんだろうな。


……意識されても困るけど。



午後からの部活に備えて、支度を始める。


父と母は仕事へ行き、兄とゆかなさんも共に出かけたので、家にいるのは私と和奏だけ。


ある程度準備を終えてリビングに行くと、兄から借りた服を着る和奏が食事をテーブルに運んでいた。


「真崎も昼飯食うだろ?」


「う、うん……、食べるけど。和奏が作ったの?」


2人分の冷やし中華が並ぶ。


「違う違う。ゆか姉が作ってくれて、俺は麺を茹でただけ」


「そうなんだ。美味しそう」


いただきますして食べる。


麺を啜ると、さっぱりした味が口に広がった。

タレがしっかり麺に絡みついていて美味しい。



冷やし中華を何口か口に運んだ後、

ふと、気になっていたことを聞いた。


「そういえば、部活休んだの?男バスって午前練だったよね」


「うん。制服も部活着もないし、ゆか姉たちを待たないとだから。……これって、ずる休みになるかな?」


「うーん……、ギリアウト?」


「だよなー。キャプテン失格だ」


苦笑いを見せる。



とその時。


「ただいまー」


ゆかなさんたちが帰ってきた。