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「あー、くそっ。時原に負けたー。

お前なんだよ、強すぎ。

部活でもそれくらい本気でやれよな」


「……やですよ。疲れるんで、もう二度とやりません」


「なんでそんなマジだったの?」


「いいところ見せたかったんで……」


「?」



***



「はぁ……」


小さくため息を吐いて、試合結果表とにらめっこする。


「落ち込んでんの?」


ふと、そう声をかけてきたのは兄だった。



「別に」


「素直じゃないなー。試合に負けて落ち込んでいるんでしょ」


「ふんっ……」


図星を突かれて目を逸らす。



対2年生試合。

あと一歩のところで敗北を喫した。


男子バスケが3年生相手に勝ってノリに乗っていたからこそ、余計に悔しい。


つい、爽を押しのけて出たくせに情けない、なんて考えてしまう。


……そんなこと考えたって仕方ないのに。



「慰めてあげよっか」



不意に届いた言葉。