リビングのドアが開いて、兄が帰ってきた。


いつもは家の鍵を開ける音で帰宅がわかるのに、和奏がいる時はリビングのドアが開くまで気付かない。

それほど賑やか。


「ただいまー……、ってお前、また来てんのかよ。4日目だぞ」


「せんせー、おかえりー。

俺、もう真崎家の一員なんで!」


「ふざけんな。さっさと帰れ」


辛辣に吐き捨てる兄だけど、

結局、いつも車で家まで送っていってあげるんだから、なんだかんだ先生の立場が抜けないみたい。



すると、


「あら、いいじゃない。和奏くん、ほんとにうちの息子になっちゃいなよ。……ゆうちゃんと結婚して」


唐突に母が爆弾投下。


「お、それいいな」


それに乗っかる父。


面白そうに笑うゆかなさんと、怒り心頭の兄。



「あー、そういう手もあるか。

……でも俺、彼女いるんすよ」


「それは残念」


不法地帯のような状況で。


「ゆうちゃんにも、そろそろ彼氏の1人や2人連れてきてほしいのよね」


二度目の爆弾が投下される。


「時間の問題かもしれませんよ。

実は、真崎にもイイ感じの奴がいるんすよ」