「え、もしかして……、()う?」


「うん」


「どうして……?」


「んー。一言で言うと、“向き合うため”、かな」


向き合う?爽と?


え、どうしよう……。

こういう時、なんて言えばいいの?



……ううん。

私のすべきことは決まってる。


「時原、頑張って!」


時原の手を取って、両手で握る。


私ができるのは、背中を押すこと。

何があっても味方で居続けること。



「ありがとう」



穏やかにお礼を言った時原の背中を見送る。



ふと。


「結咲ー!」


時原が歩いていった方向から、私を呼ぶ声がした。



……、あれ?