妹を溺愛する兄が先に結婚しました

「恥ずかしいところをお見せしました。

……それで、聞きたいことって？」


「んー、軽い気持ちで聞いてほしいんだけど」


「？」


何を言うかと思えば……。


「俺って……、立ち止まってる？」


そんなことを口にした。


「え？……まあ、立ち止まってるんじゃない？」


現に佇む時原をまじまじと見て答える……けど。


「……って、物理的な意味じゃないよね。

誰かにそう言われたの？」


「んー……。ちょっと意味がわからなくて」


私の質問ははぐらかされた。


言いたくないならいいけど。



「立ち止まって……はないんじゃない？」


「…………」


「私に聞くってことは爽と和奏のことだよね。

それなら、ずっと気持ちを押し殺してきた時原が私に話した時点で、むしろ歩き出してると思う」


思ったことをそのまま伝えると、時原は目を見開いた。


的外れなこと言ったかな？


時原が何も言わないので不安になる。


「そういう意味で質問したわけじゃなかった……？」


「……ううん、合ってる。ありがとう」


まっすぐな瞳が私に向けられた。