妹を溺愛する兄が先に結婚しました

うーん……。

私って案外、頭いいじゃない?


いや。この場合、頭の良し悪しは関係ないか。


でも、どうやら勘は鋭い方らしいです。



あんな傷付いた顔で言われたら察しちゃうよなー。


三つ葉ちゃん、『時原先輩のこと』の後、なんて言おうとしたんだろう。


『時原先輩のことどう思ってますか?』

とか?



……好きだよ。

好きに決まってる。


でも、それを伝えたら三つ葉ちゃんはもっと傷付いた顔をする。


気持ちを伝えて終わった私が追い込んでどうするの。


だから、言葉を遮ったんだ。



私はあくまで時原の味方。



***



着替えて部室から出ると。


「もう着替えたの?」


しゃがみ込んで壁にもたれかかる時原がいた。


「……うん。タオルありがとう。洗って返すね」


よいしょと立ち上がる時原。


どうやら私を待っていたらしく。


「真崎に聞きたいことがあって……。

そしたら、水被ってるからビックリしちゃった」


と思い出し笑いを浮かべながら言った。