妹を溺愛する兄が先に結婚しました

「え、時原、……っ!」


束の間。

私の頭に乗ったタオルを、時原がわしゃわしゃした。


「わっ、な……、なに?」


「ちゃんと拭いた方がいいよ。

俺のだけど、まだ使ってないから」


頭を拭いてくれてるんだ。


……ほんとだ。

タオルが揺れる度に柔軟剤の匂いがする。



たまに時原から香る匂いと一緒。



拭いていた手が止まると、タオルの隙間から満足そうにする時原が見えた。


なんなの、このシチュエーション……。

キュンとしちゃうでしょ!



「ちょっと時原も、結咲を甘やかさないでくれる?」


「甘やかしてないよ」


「結咲に懐いてるみたいだけどさ……。

このドジっ子ノーコンには厳しくしないとダメ。また同じことをやらかすから」


ドジっ子ノーコンって……。


ドジっ子じゃないし、ノーコンって今関係なくない?



……っじゃなくて!


「懐いてないから!」


さすがにそこは声を大にして否定させてもらう。


あまりにも時原に対して無神経すぎる。