妹を溺愛する兄が先に結婚しました

「ぎゃー!」


「ゆさぁーっ!」


「ごめんなさいっ」


バスケや部室の備品を洗い場で洗っている時。


蛇口を閉めようとしたら、反対方向だったらしく。

上向きになっていた蛇口から水が噴き出した。


しかも、蛇口を手で塞いでいたもんだから。

それはもう噴水の如く、盛大に。


……誰でも、一度はこういう間違いするよね。



「先輩!大丈夫ですか……?」


「心配しなくていいよ、夏目。自業自得なんだから」


「そうそう。

バカがバカをやらかしただけなんだから」


バカって、酷いな。


唯一心配してくれるのは三つ葉ちゃんだけ。

みんな呆れ返っていて、1年生もゲラゲラ笑っている。


私の良心は三つ葉ちゃんだけだよっ。


……にしても、酷い扱い。

水を被ったのは私だけなんだから、そこまで言わなくても。



するとそんな時。


私の頭にふわっとタオルが乗った。


……何事⁉


ビックリする私の目に最初に映ったのは、目をまんまるくする三つ葉ちゃんで。


その視線の先に……、



「だいぶ濡れたね」



時原が面白可笑しそうに立っていた。