妹を溺愛する兄が先に結婚しました

こっちを見てほしいのに、見てくれない。


「先輩のこと嫌いなの?」


「嫌いじゃないよ」


「じゃあなんでお別れに行かないの?」


「んー……、嫌いじゃないけど思い入れはないから。

……今の2年生が卒業する時はちゃんと行くよ」


“だから今はここにいさせて”と言われているようだった。


ま、いっか。

と許しちゃう私は甘いのかな。


菅原先輩、ごめんなさい。とだけ心の中で謝っておく。



外を見つつ、たまに視線が時原へ移る。


ほんとに綺麗な横顔。


無表情で何を考えているかわからないけど、まっすぐな目。


その目が私を見てくれたらどんなに嬉しいか。