妹を溺愛する兄が先に結婚しました

「それより、時原見てない?」


「いないんですか?」


「うん。この後、みんなで写真撮るだろうから探してこないと」


「私が探してきますよ。先輩はここにいてください」


「そう?じゃあ、よろしく」



いる可能性が高いのは、さっきまで男バスが待機してた2年生の教室かな。


そう予想して2年生の教室を探すと、やっぱりいた。


窓際の席に座って、ボーッと窓の外を見ている。


ドキドキするのは、2年生の教室だからってだけじゃなくて、廊下も他の教室も静かだから。


世界に私たちだけが取り残されたよう。



深呼吸して、私は時原に近寄る。


私の足音に気付いて、時原がこちらを向いた。


「どうしたの?」


「どうしたのはこっちのセリフだよ。みんな下にいるよ?」


「うん。そうだね」


頬杖をついて、また窓の外を見る時原。


ここから校庭に集まるみんなの姿が見える。


無理やり連れていく気にもなれず、前の席の椅子を引いて跨がるように座った。