妹を溺愛する兄が先に結婚しました

隣の時原は、マフラーで口元を隠し視線を外すように俯いている。


それでも表情は分かる。


そんな辛そうな顔しないでよ……。


こんな時、気を紛れされる言葉が出ない。


私も自分の口元をマフラーで隠した。



辛いね……、お互い。



***



学年末試験が終わり、部活の日々が戻ってくる。


掃除で遅くなった私は、急いで着替えて体育館まで走っていた。


すると。


「あ、真崎!真崎も遅刻?」


「掃除で遅くなったの。和奏は?」


「俺も」


同じように急いでいる和奏に会った。



2人で体育館に行って、ギョッとする。


「な、なにしてんの⁉」


だって、体育館の入口で男バス1年生数人が正座しているんだから。