人通りのない場所で、和奏を壁に追い詰める。


「な、なにかな……?」


さっきの会話を聞かれていた負い目があるのか、顔が引きつっている。


「……いい加減にしてくんないかな?」


「は?」


「和奏、私と時原をくっつけようとしてるでしょ」


「ん?……ああ、そのこと。うん!」


満面の笑みを見せる和奏。


悪気はないんだろうけど、軽く殴りたい気分です。


「何を勘違いしているのか知らないけどさ、私、時原のこと好きなんて言ってないよね?」


「言ってないけどさ……。

俺はいいと思うんだよね、静也と真崎」


「なんなの、その根拠は」


「んー、なんとなく。

好きとは言ってないけど、別に静也のことが嫌いなわけじゃないだろ?」


「そういう問題じゃなくて。時原にしてみればいい迷惑だと思うよ」


「いやいや、そんな深く考えてないって。

あいつ、周りに動かされて動く奴だから」


和奏はそういう時原を見てきて、実際にそうやって心に踏み込んだからこそ、そう思っているんだろう。


それは間違ってないのかもしれない。


でも、こればかりは……。