月は嫌いだ 蒼天を支配する存在感で 佇む月は その存在感ゆえに 孤独に見える そしてその孤独が あの空で失ったものを 思い出させるから 空に消えた あの人を 思い出させるから…… 「ドルチェさん、お待たせしました。出来ましたよ」 ドアが開け放しになった小屋の入り口をくぐり声をかけると 「おお、治ったか。遅くまですまんなヴィンス」 髭面の大柄な男が積み木片手に振り返る。いかめしいその風貌とおよそ似合わぬ積み木との組み合わせに思わず吹き出しそうになるのをこらえた。