ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。





「へっ、海外出張?!」


その日の夜。
大好きなママのミートスパゲティを食べながら。

ママの言葉に耳を疑って聞き返す。


「そうなの……」


そう呟いてフォークにパスタをクルクル巻くママ。


「いや、そうなのって……海外って……」


正直、急なことすぎてびっくりしてうまく言葉が出てこない。


私があからさまに不安そうな顔をしたからか、ママが慌てて話し出す。


「あぁ、でも、ママの代わりに行ける人もたくさんいるし。ママじゃなくてもいいんだけど!一応、家族にも話してみてって言われてるから話しただけでね!全然現実的じゃっ……」


早口なママの話を聞きながら、太ももの上でぎゅっと手を握る。


「……行って来たらいいよ!」


「えっ……」


私がそんなふうに答えると思っていなかったのか、ママは固まったままこちらを見てパチパチと瞬きをした。