校舎に入ったとたん、なんだかすごくいろんな人に見られている気がして。


「白井初花って、あの子?」


階段をのぼっていたら、そんな声が聞こえた。


気のせいかと思っていたけど、自分のフルネームが聞こえたんじゃ何事かと思う。


私、何かしたかな……。


だんだん不安になりながら、早くめぐちゃんたちに会いたいと早歩きになる。


そして、教室の扉を開けた瞬間すぐに、


「初花っ!」


と、よく知っている声が私の名前を呼ぶのが聞こえて安心する。


「めぐちゃん……なんか、私……すごいいろんな人に見られ───」


「あんた、織くんと付き合ってるってほんとなの?!」


「え」


な、なんということでしょうか。


「すごい噂になってるよ、昨日、ふたりがコンビニで仲良さげに買い物してたって」


とちーちゃんが若干不安そうに聞いてくる。


えぇ……。
昨日のあれ、誰か見てたの……。