「……俺は、白井さんにさっきみたいな顔させないのに」


「……えっ、」


「ううん。俺といるのに、他の人のこと考えるなんてひどいな〜って」


「なっ!!べつにそんなつもりは!!」


いやでもそうなのか……。
織くんという推しとふたりでいながら、広夢のことを考えちゃうなんて……。


そう指摘されて、さらに自分が広夢のことを忘れられていないことを痛感してしまう。


ダメだ。このままじゃ。


「悲しいな……」


「違うんだよ織くん!わかったもう絶対考えないっ!広夢なんて織くんの足元にも及ばないんだから!」


必死にそう言えば、織くんが「ふはっ」と吹き出して。


尊いとかかっこいいとか、それ以上に。
胸がキュンとして。


この笑顔を見せてくれるのは、私だけでいいのに、なんて思ってしまった。