『へ、へぇー!広夢、堀さんのこと……そうなんだっ!えーそっかぁー……』
嘘が下手だ。
演技が下手だ。
私のことをなんでも知ってる広夢には秒でバレてしまう。
わかっているのに続けるのは、現実と向き合って今まで築いてきたのが全部終わってしまうのが嫌だったから。
そんな真正面から言われちゃ、“フリ”に逃げられないじゃないか。
広夢は、容赦なく続けた。
『堀さんに、俺は女子の中で初花といちばん仲がいいって言われた』
『……』
『初花とお似合いだって言われた』
『……っ、』
『俺は、……初花とじゃなくて、堀さんとお似合いがいいのにって思った』
ずっと気づいてた。
中学1年の入学式。
隣の小学校だった堀さんから、目を離さなかった広夢を見た。
私は広夢が好きで、彼から目を離さなかったから。彼女に釘付けになっている広夢に気付いてしまった。



