頭がクラクラして倒れそう。
推しの字で自分のフルネームを書かれて、そのまま読み上げられるなんて。


そんなこと人生で起こるなんて誰が考えるであろうか。


死ぬ。控えめに言って死んでまう!


このノート、使い終わっても一生捨てないよ。死ぬときには棺桶に一緒に入れてもらおう。


「……織くん、なんてこと……」


思わず声に出したまま顔を手で押さえる。


「これからよろしくね、白井さん」


「い、いえ……こ、こちらこそ、」


「ん」


ちょっと誰か、休憩をください。
座ってるだけなのに短距離走をした気分だ。


心臓の音の速さが以上すぎる。


そんな私にはおかまいなしに、織くんはふたたび、ノートを見返すのを再開して。


なんとか授業の進みが同じだった2教科のノートを無事に写させてもらって。


織くんが自分の部屋へと戻って行ったのを確認してから。


「……無理、心臓がもたないぞっ」


机に突っ伏したまま呟いた。