「いやそんなっ、柳瀬くんは私にとって憧れで、その学校で同じ空気吸えているだけでしんどいというかっ」


「それも。織だって。次、敬語話したらその口塞ぐ」


「……へ」


ふぁっ?!


ふ、ふさ、塞ぐ?!


「……チューするってこと」


そう言って、織くんが私の唇を優しく親指で撫でる。


「なっ……ちょ、あのっ、お、お、織くん私のこと殺す気ですか?!」


織くんのお口から『チュー』なんて単語を聞いてしまって、軽率に耳が妊娠してしまいそうだ。


「ふはっ、顔真っ赤」


笑うとこ?!まともな反応だと思うんだけどっ!!


赤面だけで済んでよかったよ!!
今度は確実に息止まって死んじゃうね!!


ていうか、織くんそんな冗談言うタイプなんだ。意外。どっちにしろやめたほうがいいけど!!


「そろそろ夕飯だよ」


そう言って織くんが立ち上がる。


「あ、は……うんっ、」


「それと……」


ん?


ドアの方まで歩いた織くんが立ち止まったかと思うとこちらを振り返って。


「白井さんは、今も十分かわいいから」


そう言い残して部屋を出て行った。


な、なんですって……。