「こうやって話せるきっかけができて嬉しい」


織くんは私の前でしゃがんでそう言った。


う、うれ、嬉しい?ふぁ?


あの柳瀬 織が、私と話せて、ウ、ウレシイ?
これはやっぱり夢かもしれない。


「このかわいい子、白井さん?」


「……え」


私が右手に持っていた写真を織くんが指差す。


織くん、今、写真の中のチビ初花を見てかわいいって言った?!


おにぎりと肉持ってるこのいかにも食いしん坊なチビ初花を?!


いや確かに今と比べたらたぶん、マシである。


「わ、わたしです、はい。この頃はわりとまだ、可愛げあったかも。まさか持ったまま寝てたとは……」


「それぐらい大事な写真なんでしょ?」


「はい。……でも、大事だと思ってるのは私だけなんですけど。……あ、ごめんなさい、なんかベラベラと!」


私ったらつい余計なことまで。


「ううん。それより、その話し方なんとかならない?」


「えっ、」


「同級生なんだし、タメ口でいいよ」


なんてこった。
無理に決まっとる。


相手はあの柳瀬 織くんだぞ。