織くんのこと、すっごくすっごく大好きだ。


でもこれは、恋の気持ちが大きいのか、推しへの憧れのほうが大きいのか。


はたまた、これ以上織くんと深い関係になって、自分の欲が大きくなって幻滅でもされたりしたら。


いろんな気持ちが入り混じったままで俯いていると、突然、フワッとソースの匂いが香った。


「よし、じゃあ食べよ!」


「えっ」


「白井さんのクラスの焼きそば買ってきた。一緒に食べよう。白井さん、お昼まだでしょ?」


さっきまでみんなの王子さまだった彼が、私に柔らかい笑顔を向けて。


そのせいでまた胸が鳴る。


「白井さんはそのままでいて。俺のことでそんな苦しそうな顔しないでほしい」


なんて、続けてくれるから。


「……うん、ありがとう。織くん。……食べよっか!」


ちゃんと、自分の気持ちと向き合わなきゃ。
そう決意して。


私は織くんと一緒に焼きそばを頬張った。