ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。



「はぁ……」


これからどうすればいいんだろう、と2回目のため息をついた時だった。


「こんなとこにいた」


え。


うそ。


声がして顔をあげると、目の前に制服姿の織くんが少し息を切らしながら立っていた。


さっきまで王子さまの格好をしていたはずの彼が、どうしてこんなところに。


もしかして……私のこと探して?


でも、なんで……。


「お、織、くん」


「白井さん、見に来てくれたんだね。舞台から見えた」


「あ……うん」


どうしよう。
まともに顔が見れない。


織くんと辻さんのキスシーンがフラッシュバックして。


「終わってすぐ、白井さんに会いに行こうと思って白井さんたちの屋台に行ったら、どこかで休んでるって聞いたから」


そう言いながら、織くんがスッと私の隣に自然に座る。


もう当たり前、みたいに。


それが嬉しい反面、さっきまでみんなの黄色い歓声を一身に浴びていた織くんを思い出して、胸がギュッとする。


「そ、そっか……」


まさか舞台の向こうから、私たちが見えていたなんて。


しかも織くん、うちのクラスの屋台まで行ったって……。


私に会いにって。
そんなこと言われた、きゅんとしちゃうよ。
そんなつもりないってわかっているつもりでも。