ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。



「とっても嬉しいっ!好きなのばっかりだ……ありがとう!みんなもすっごく喜ぶよ!」


そう言って、袋の中に落としていた目線を上げて織くんを見ると。


織くんは、私の背後の教室をジッと見つめていた。


織くんも、ほかのクラスがどんな準備しているのか気になるんだな……。


「織くん?」


名前を呼ぶと、織くんがハッとしてこちらに目線を合わせてくれる。


「……あ、うん。よかった。じゃあ、頑張ってね、白井さん。当日、俺も白井さんたちの焼きそば楽しみにしてる」


「はっ、それなら、織くんには目玉焼きもオムレツも大サービスするね!」


「ふはっ、勝手にそんなことして大丈夫なの?」


控えめに吹き出した織くんがかっこよすぎて、ほっぺが落ちかけた。


もう美味しい。見てるだけでよだれが出る。


「織くんだよ?!誰がダメって言うのさ!」


「ハハッ。ありがとう。じゃあ、また放課後ね」


「うん!」


織くんは柔らかく笑うと、私の頭にポンと優しく手を置いてから自分の教室に戻っていった。