「あ、白井さんお疲れさま」
「織くんもおつかれさま!それ、織くん学園祭に着るの?」
織くんが手に持っている王子様っぽい衣装に目を向ける。
「うん」
「そっか!!すっっごい楽しみ!織くんのことだから絶対似合う!!必ず見に行く!」
「ホント?ありがとう。白井さんのクラスは順調?」
「うん。順調すぎてちょっと休憩中」
「そうなんだ。今からどこか行くの?」
隣にいた山口くんをチラッと見た織くんがそう聞いてくる。
「ああ、うん、ちょっと売店に。山口くんがお腹すいたってうるさくて」
「お前だろ」
「えー?」
「そっか。仲、いいんだね」
と微笑んだ織くんだけど。
なぜか目がちょっと笑っていなかったような……。
「えー仲良いとかじゃないよ!同じ班だから仕方なく、ね」
「そうなんだ。じゃあ、頑張ってね」
そう言ってくれた織くんに「うん」と返事をして手を振ろうとしたら。
「あ、白井さん」
織くんが私の手首をとっさに掴んで、そのまま引き寄せた。
っ?!
何事だと思っていたら、織くんの吐息が耳に触れて。
「今度は、俺と抜け出そうね」
そう呟いてから教室に戻ってしまった。
耳が熱くて手で押さえる。
なに。今の……。



