ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。



織くんと授業をサボってしまった。


チャイムが鳴り終わっても教室に来なかった私を心配しためぐちゃんたちからメッセージが届いていたので、


詳しい話はあとでしっかりすることと、今は織くんと一緒にいるから大丈夫ということだけを伝えて。


私は今、1時間目の授業が終わるまで、織くんと屋上に続く階段にいるのだけど。


えっと。
この状況……。


背中はぴったりと壁にくっついていて。
顔のすぐ横には織くんの長い手が私の逃げ場を塞いでいる。


まさに、さっき見たばかりの構図。
壁ドンだ。


どっからどう見ても壁ドン。


どうして私が織くんに壁ドンをされているのかというと……。


5分前に遡る。


「さっきの織くん、本当にすごかった。あんなに素晴らしい壁ドン、私は見たことない」


改めて先ほどの興奮が冷めやらぬまま、そんなことを言ってしまったのがいけなかった。


「そんなに言うなら……白井さんにもしようか」


そう静かに呟いた織くんが、ジリジリと距離を詰めてきて。


「へっ……」


気付けば、トンと背中が壁に触れて。織くんの両手が私の左右を塞いで。


あっという間にこの体勢である。