「……ご、ごめんなさい」


「俺にじゃないよ」


織くんにそう言われて、肩をびくつかせた吉村さんが、涙をこぼしながらこちらに視線を向けた。


……あう……どうしよう……。


泣いている吉村さん、めちゃくちゃかわいい。


吉村さんのせいで、私の平穏な高校生活が数日脅かされたけれど。


その弱った可愛い顔を私に向けてくれただけで、もういいよと言う気持ちになる。


「……ごめんなさいっ、白井さん。……もう、しない、からっ、」


織くんの一言で、まるで人が変わったみたいだ。すごい。


「うん。……織くん、もう大丈夫だよ!ありがとうっ。吉村さんもそう言ってくれてるし……」


「次似たようなことしたら、ただじゃおかないから」


なっ。


織くんがそう言った瞬間、ホームルーム開始のチャイムが鳴って。


行って、と織くんに言われた吉村さんは、逃げるようにその場を後にした。