「……っ、……だ、だって、白井さんずるいからっ、織くんと一緒に住んでいるなんてっ」
去年から何度も告白するぐらい織くんのことが好きなんだ。
そりゃ、嫌だよね……。
声が震えてる彼女を見て、少し胸が痛くなる。
さっきまで私が彼女にいじめられていたのに。今はかわいそうにみえて。
「吉村さんにはがっかりだよ」
「……っ!!」
織くんが呆れたようにため息混じりに吐いたそのセリフは、見てる私にでさえ、胸がチクッとした。
私がこうなるんだから、去年からずっと好きで追いかけてた吉村さんは相当なダメージだろう。
「謝って。そして二度と白井さんの嫌がることしないって誓って」
「っ、」
織くんの怒った感情剥き出しのこんな姿見たことない。
それはきっと、吉村さんだって同じだろう。
顔は真っ赤で目には涙が溜まっていて。
今、吉村さんの心の中はぐちゃぐちゃにかき乱されていることと思う。
心中お察しします。
大好きな人に怒られるのは苦しいけれど、その整った顔が間近にあって自分をまっすぐ見ているんだから。
苦しいけどドキドキしちゃうような。
混乱するに決まっている。



