力が抜けたように織くんが吹き出したのを見て、ホッとする。


「よかった……」


と思わず心の声が漏れて。


「え?」


「あ、えっと、織くんがやっと笑ってくれたから」


私がそういうと、織くんが目を開いた。


「めぐちゃんたちにも話したんだけどね。大切な人には、私のこんなことで悲しそうな顔してほしくなくて……だからっ、」


「白井さん」


織くんが優しく私を呼んで、話し出す。


「それは、俺も白井さんに対して同じこと思ってるよ。……だから、無理して笑わないでほしい」


「え、」


「白井さんが苦しんでいたら、俺にだけは共有してほしい。一緒に感じたほうが、全部ひとりで抱えるよりも苦しさが少しは減ると思うから。白井さんが友達に対してそう思っているのはすごく素敵なことだし、白井さんのそんなところを尊敬してるけど、俺には悲しさも分けて欲しい。……みんなが知らない白井さんの顔、俺にだけ見せてよ」


「っ、織くん……」


「だから、今までのされたことぜんぶ、話して。俺はずっと白井さんの味方だから」


そう言って私の頭に置かれた織くんの手があまりにも温かくて。


その拍子に、じわっと涙が溢れて。
私は少しの間、織くんの胸を借りて泣いた。