『白井さん、見つかったよ』
織くんが画面の向こうでそう言ったのが聞こえた。
すぐに早足でさっきいた昇降口へと戻る。
まさか、織くんが見つけてくれるなんて。
「織くんっ」
「あってるかな?白井さんので」
昇降口に着くと、織くんがローファーを手に持っていて。
中の側面には私の字で『U.S』とイニシャルが入っていたので確実に私のもの。
「うん!私のものっ!!ありがとう織くん……見つからないって思ってたから……びっくりっ」
てか!!
「ああというかそれよりも!織くんにこんなものを持たせてしまって!なんてことだ申し訳ないっ!」
慌てて謝りながら、織くんの手からサッと靴を受け取った。
推しに靴を持たせるなんて……どんな状況だよほんと。
「……ほんっっとにありがとう!これで無事に帰れます!」
「うん。よかった」
「でも織くんよく見つけてくれたね。どこにあったの?」
そう聞くと、なぜか織くんが一瞬だけ目を逸らした。



