『白井さんと一緒に帰りたいんだよ』


織くんの言葉が何度も頭の中で響く。


「な、なんで……そんなこと……」


ひとりになった靴箱で呟く。


って!!今はそれを考えている場合じゃなくて。


織くんが私の靴を探してくれてるんだ!!私も全力で探さなきゃ。


見つかる可能性の方が低い気がするけれど。


……ゴミ箱に捨てられてたりしたら見つけようもないし。


いや、そんなマイナスなこと考えちゃダメだ。


探してみなきゃ、わからないんだから。


「よし!」と自分に喝を入れて。


私は織くんの鞄の隣に自分のを置いてから、校内中を回った。



あれから、30分ほど経っただろうか。


隠せそうなところを探し回ったけれどやっぱり見つからなくて。


とぼとぼ歩きながら「はぁ……」とため息をついたとき。


スカートのポケットに入れていたスマホが震えた。


画面には織くんの名前が表示されていて、すぐに通話ボタンをタップして耳にスマホを当てた。