「やっぱり、声かけて正解だった。他にはどんなことされてるの。話してくれない?」
私の顔を覗き込むように見つめてくる織くんの、心配そうな顔。
織くんにまでこんな顔をさせてしまって申し訳ない。
「……っや、その、大したことはなにも!小学生みたいなことだよ。教科書なくなったり!でもほんと、織くんがそんな顔するようなことじゃないからっ」
「大したことだよ」
「織くん……」
私から背けた織くんの顔が悔しそうに歪んで。
織くんのこんな表情、初めてみた……。
「ごめん、すぐに助けられなくて」
「な、そんな織くんが謝ることじゃないって!こんなこと織くんにバレたら嫌だなって思ってたし。異変には気付かれてたみたいだけど……でも、めぐちゃんたちもずっと助けてくれてるし。だから、大丈夫!」
そう言えば、織くんが私の肩に手を置いて。
「っ、」
っ?!?!
ゆっくりとそのまま抱き寄せられた。
「ちょ、あの、織くんっ!!誰かに見られたらっ!!」
なんで突然抱きしめたりなんか!!
「……俺は、いいよ。見られても」
「なっ、」
なんてことを言い出すんだ。



