ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。



織くんの天然ぶりに頭を抱えながらなんとか靴箱に到着して。


上履きと靴を履き替えようと靴箱に入った自分の靴に手をかけたと思ったら、


スカッと空気だけが触れた。


「えっ……」


思わず顔を上げて中を見ると。


うそ……。


あるはずの私のローファーがない。


「ん?どうしたの、白井さ───」


「っ、や!!なんでもっ!!」


とっくに靴に履き替えた織くんの声がして、とっさに靴箱を隠すような体勢でそう言った。


「ごめん、織くんっ、私、忘れ物思い出だし──へっ、」


織くんには嫌がらせのことがバレたくなくて、慌ててごまかそうとしたけれど、


ほんの少し目を細めた織くんが、怪しむようにこちらを見ながら、さっき履いたばかりの靴を脱いでこちらに迫ってくるではありませんか。