ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。



「だめ?」


そう聞かれて、ブンブンと首を横に振る。


「だめじゃない!!一緒に帰らせてください!!」


だめなわけないじゃないか!!
嬉しいよ!!泣いちゃうよ!!
すごく目立ってしまっているけど!!


こりゃ、さらに嫌がらせがひどくなってしまわないかちょっと心配だ。


いや、織くんと並んで歩けるのなら、たとえ火の中水の中。


全然へっちゃらだ!!


「よかった。じゃあ行こっか」


「ふぁい!」


私は、興奮するめぐちゃんたちにバイバイしてから、織くんと一緒に昇降口へと向かった。


「ごめんね、突然」


「ううん!嬉しかったからっ!ありがとうっ。でも、どうしたの急に」


織くんと並んで学校の階段を降りる日が来るなんて。


夢みたいだ。


「……白井さんと、話したくて」


「っ、」


なっ……推しが私と話したいと思っているってどういうことよ……。


思わせぶりにも程がある。
織くんだから許すけど。